Jekyll&&Hyde

昨日は晴れ、今日は朝。

環境よもやま話 その3 建築リサイクル法で破壊される日本の国土と農業

 ビルを壊した廃材や廃コンクリートをリサイクルしようということを提案したのは誰でしょうか。そして何の目的でそのようなことをやろうとしているのでしょうか。私はとても疑問に思うのです。

 コンクリートというのは、セメントと砂利、石を混ぜて作るもので、固まりますと原料とは別のものになります。だから、堅くなって壁や柱になるのです。

 しかし、60年も経つとコンクリートも状態が悪くなって建て替えることになります。その時にビルから出る大量の廃材を利用しようというのが建築リサイクル法なのです。確かに「言葉」では、可能なように思いますが、科学は言葉で言うことができるからといって、実際にできるものではありません。

 ビルを壊して生じたコンクリートの廃材は性能が悪いので、それを使って新しいビルを造っても地震で壊れるようなビルしかできないと簡単に言ってもいいでしょう。そして「地震でも壊れないようなビル」を「悪いコンクリート」で作ろうとすると壁の厚みをものすごく厚くする必要があり、環境に良いとはとても言えません。

 だから、廃コンクリートは行き先を失ってうろうろします。そして結局は「路盤材」という名前の「地面を覆うもの」として使われます。

 「路盤材」というと言葉の響きは良いのですが、簡単に言えば土の上のガレキです。日本はもともと国土の70%が森林で平野の面積はごくわずかです。その平野ですら住宅、道路、河川などがあり、畑に使えるところはそれほど多くはありません

 日本の農業は今、力がありませんから畑を守ることができません。建築リサイクル法の名のもとに日本の畑は少しずつつぶれていっています。このまま何十年も続けたらどういうことになるでしょうか。日本の畑は、全部、ビルの廃材で覆われることになるでしょう。そんなことが法律で決まっているのだからとても恐ろしいことです。

 現在でもすでに兆候がありますが数十年先には食糧危機が来るでしょう。その時に天候が急変するかも知れませんし、また石油が少なくなってくると肥料や農薬を使えませんから、食糧の生産量は激減します。

 またその際に日本が少子化が進んで日本の人口が3000万人から5000万人になっていれば、何とか食べることはできるかもしれませんが、1億人もいたら日本人の多くが餓死することは間違いありません。

 すでに石油が無いので機械でガレキを掘り返すこともできず、我々の子孫は私たちがやったことを心から恨むに違いないのです。「なんで建築リサイクル法なんかを作ったのか」と嘆くでしょう。

 建築リサイクル法を作った人達は、日本の将来の食糧など全く考えていません。ただ、新しいビルを建てたいだけのことなのです。しかし我々はそんなことをしていて良いのでしょうか。食料を確保すること。日本の子孫にすばらしい国土を受け継ぐこと。これこそ我々がやらなければいけないことです。

 コンクリートはそれほど毒物ではありませんので、海を埋め立てていくのが一番良いのです。海を埋め立てるということは環境破壊の最もひどい例と思われていますが、それは無計画に海を埋めるからです。

 実は、現在の日本の海はそれ以上に破壊されています。海岸に行きますと海草も魚も居ません。それは、陸の方がコンクリートで固められているので、本来、海に流れ込むはずの水や元素の循環がうまくいっていないからです。

 つまり海を直接埋め立てるよりも陸地を広くガレキで埋め立てた方が自然を破壊するということにまだ日本人は気が付いていないのです。

 食品リサイクル、紙のリサイクル、そして建築のリサイクル・・・たかがリサイクルかと思いますが、これを長く続けていくと日本は本当に破壊されてしまうでしょう。

 リサイクルを進めている人に、ぜひお願いしたいのですが、自分たちの利益や地位、メンツ、天下りなどを捨てて、日本の子孫のために一刻も早くリサイクルをやめて欲しいと私は願っています。

(おわり)